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続・骨太 実務現代刑事法/植村立郎著

植村立郎著/A5判 740頁/2023/11/13

2019年に「平成」から「令和」へと元号が変わったが、30年超という、それなりの長さのあった平成の時代は、筆者にとっても仕事や生活が変わるなど、有意で変化のある期間であった。
 そして、刑事事実認定に関しても、最高裁発足以降、「昭和」、平成、令和と、時代が進んでいく過程で、裁判例が蓄積されていくだけでなく、対象事件が旧刑訴事件から新刑訴事件へと、裁判形式の中心が判決形式から決定形式へと、各移行していった。そして、事実認定の大きな流れとして、供述証拠中心の事実認定から、科学的証拠を踏まえた客観的事実、情況証拠を重視する事実認定へと、事実認定の手法が大きく変化する方向性が生まれ、継承され、発展していった。
 その中で、本稿は平成の時代を対象とすることとした。上記のように時代を経て蓄積されていく連続的な判例の動きを平成という一つの時代で切り取っているが、連続性に重点を置くと、「昭和」の時代の判例にも言及する必要があることになる。しかし、そうすると、平成の時代を対象とした視点が薄れる部分も出て来るところから、「昭和」の時代の判例には原則的には言及していない。
 他方、令和の時代の判例については、平成の時代の判例の発展形といった側面もあり、平成の時代の判例の理解を深めることになろうかとも考え、筆者が気付いて必要と考えたものは、関連判例の形で紹介している。
 平成の時代を取り出してみれば、事実認定に関する上記の流れをより良好で堅固なものとしたといえる。具体的には、�\彩�司法から核心司法へなどといわれるように、認定手法の改善が意識的に具体的な形で行われたこと(=意識の変化、具体性)、
 ��各種の技術革新、社会の変化で、映像、音声、鑑定、検査等の良質な客観証拠が容易に、多数得られるようになり、事実認定の適性度が向上し、無用な事実認定上の争いをこれまで以上に解消できるようになっていったこと(証拠の変化)、
 �8�判前整理手続は平成17年11月1日から、裁判員裁判が平成21年5月21日から、それぞれ開始され、また、平成2年に弁護士会の尽力によって当番弁護士制度が開始され、平成16年の法改正で被疑者国選制度が設けられ、順次その範囲が拡張され、平成28年の法改正で対象事件による制限もなくなって、勾留中の被疑者全員へとその対象が拡張された。このように、裁判制度そのものが変容することによって、手続面から事実認定の適正化を図る基盤が整備されたこと(=制度、手続の変化)
 などを指摘できよう。
 こういった変化を全体としてみれば、事実認定に関する環境が全面的に良好な方向へ変化したといえよう。
 本稿は、筆者のいわゆる判例評釈的な内容をつなぎ合わせたようなものではなく、事実認定の観点から当該判例を理解するとどうなるか、といった事柄が中心となっている。
 そして、発表に当たっては、限られた検討であるだけに、当該事件から得られる事実認定の観点から有益と思われる情報に焦点を当て、検討結果が分かりやすく伝えられるようにと心掛けた。
 筆者としては、本稿は筆者の私的な印象、考えを纏めたものにすぎないが、刑事事実認定や平成期の最高裁の刑事判例に興味を抱いた読者の手助けになればと願っている。
(はじめにより抜粋)

目 次 抜 粋
検討対象判例一覧
第1 はじめに
1 執筆の経緯
2 本稿の概観
3 検討対象の最高裁判例の概観
4 筆者が気付いたこと
5 本稿の表記
第2 事実認定
1 事実誤認の審査の意義等
2 合理的説明不能要件の意義
3 合理的な疑いを超える立証の意義、直接証拠と情況証拠とで立証の程度に差異のないこと
4 上訴審と事実誤認の判断
5 犯人性
6 犯罪性
7 証言の信用性の評価
8 概括的認定等
第3 複雑な事実認定が絡む個別事案の事実認定
1 犯人性
2 過失犯
第4 法的判断・解釈と事実認定
1 実行行為
2 実行の着手
3 因果関係
4 故意
5 正当防衛等
6 責任能力
7 共同正犯
8 幇助犯
第5 各種犯罪と事実認定
1 殺人
2 保護責任者不保護
3 交通が絡んだ死亡と因果関係
4 窃盗
5 常習特殊窃盗罪と一事不再理効
6 事後強盗(窃盗の機会継続性)
7 住居侵入
8 不動産侵奪
9 詐欺
10 横領(不法領得の意思)
11 特別背任
12 会社関係事件
13 恐喝(事件性)
14 贈収賄
15 刑法176条にいう「わいせつな行為」該当性
16 不特定の者
17 犯人蔵匿、証拠隠滅等
18 覚せい剤事犯
19 児童福祉法34条1項6号にいう「させる行為」
20 軽犯罪法1条2号にいう「正当な理由」の判断方法
第6 証拠
1 証拠能力
2 鑑定と「往来の危険」の認定
3 自白の信用性
第7 訴訟手続
1 証拠開示
2 訴訟能力
3 公判前整理手続
4 審理
5 判決
6 上訴審
第8 再審
1 累次の再審請求事件等
2 新証拠の信用性の審査
3 保管記録の閲覧請求
4 再審請求が不適法であることが明らかなときの手続
第9 医療観察法
1 医療観察法2条2項の対象行為該当性の判断方法
2 治療必要性の判断
第10 少年事件
1 家庭裁判所の事実調査に関する権限
2 少年抗告事件における事実取調べの範囲
3 少年保護事件の受差戻審における証拠調べと裁量
4 保護処分取消と非行事実の認定替え
第11 おわりに
型番 ISBN 978-4-86684-106-9
販売価格 5,900円(税込)
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